Rhea's Mistep

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「IT×語学力」を軸に奮闘する文系SE。IT関連、語学、海外などの情報をゆるゆる綴っていきます。

【PowerApps】とは?ライセンスや活用事例も紹介

PowerAppsとは?

できること

https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-platform/admin/admin-powerapps-enterprise-deployment

Microsoft Power Apps」(以下PowerApps)とは、業務用アプリをローコードで作成できるクラウドアプリ開発プラットフォームMicrosoftが提供するローコード開発ツール群「Microsoft Power Platform」(以下PowerPlatform)の1つです。

従来のプログラミング言語には必要な開発環境を構築せずに、プラウザ上ですぐにアプリ構築ができます。マウス操作でUI作成ができるのも魅力的。

ほかのPowerPlatform製品と組み合わせることで、多様な機能を連携できます。

● Power BI:データ分析をして可視化する
● Power Automate:業務フローの自動化をする
● Power Virtual Agents:チャットボットを作成する
● Power Pages:ウェブサイトの作成をする

提供背景

ローコード開発が提供されている大きな要因は、IT人材不足です。経済産業省が発表したIT 人材需給に関する調査によると、 2030年度に最大79万人のIT人材が不足することが予測されています。

また、VUCA時代と呼ばれてビジネス変化が激しい現代では、システム開発に時間を掛けるのは愚策。

そのため、ITの知識がないビジネス領域の人材でも開発できるように考案されたのが、ローコード開発です。これを「市民開発」と呼びます。

ライセンス料金

料金体系は、ライセンス」「スタンドアロン」「開発者プランの3種類です。(参照:Power Platform のライセンスに関する FAQ, Power Apps の価格

ライセンス

以下のライセンスを所有している場合は、無料でPowerAppsを使用することができます。

Dynamics365

Dynamics 365 Sales Enterprise
Dynamics 365 Customer Service Enterprise
Dynamics 365 Field Service
Dynamics 365 Finance
Dynamics 365 Supply Chain Management
Dynamics 365 Project Operations
Dynamics 365 Commerce
Dynamics 365 Human Resources
Dynamics 365 Business Central
Dynamics 365 Intelligent Order Management

Office365

Office 365 E1
Office 365 E3
Office 365 E5
Microsoft 365 Business Basic
Microsoft 365 Business Standard
Microsoft 365 Business Premium
Microsoft 365 E3
Microsoft 365 E5
Microsoft 365 F3

スタンドアロン

PowerApps単体で契約する場合は、サブスクリプションプラン従量課金プランがあります。2022年12月14日の価格は以下です。

サブスクリプションプラン
  1. アプリごとのプラン(540円):毎月1人のユーザーあたり1つのアプリ作成が可能なプラン。キャンバスアプリ・モデル駆動型アプリ・ポータルから1つ選択する。
  2. ユーザーごとのプラン(2170円):1人のユーザーが無制限にアプリ作成が可能なプラン。
従量課金プラン
  1. アプリごとのプラン(1120円):毎月ユーザーが実行するアプリの数に基づいて、Azureサブスクリプションに課金されるプラン。Azureサブスクリプションへの登録が必須です。

※詳細はMicrosoft公式のホームページを参照してください。

開発者プラン

こちらのプランは、検証用のアプリ構築・テスト向けに用意されている無料プランです。ただし、職場や教育機関から発行されたメールアドレスでしかサインアップできないみたいなので、注意してください。

作成事例

トヨタ自動車株式会社」アクセサリーの出荷前検査アプリ

トヨタ自動車株式会社(以下トヨタ)が開発したのは、中古車を出荷する前にアクセサリーが取り付けられているか確認するモバイルアプリです。

担当者は検査を終了すると、対象の自動車・アクセサリーを写真から選び、アプリで記録します。アクセサリーの写真もアップロードすると、対象のアクセサリかどうかを自動判別。ただし、自動判別の部分は開発エンジニアがAzureで開発し、PowerAppsにAPI経由で搭載した機能のようです。

(参照:米国トヨタ、ローコード/ノーコード開発ツールやRPAで現場改善を実現。マイクロソフトが事例として紹介。Ignite 2020

トヨタは市民開発が非常に浸透している企業だと感じます。このアプリもレベルが高い。

JFEスチール株式会社」異常報告アプリ

JFEスチール株式会社(以下JFE)では、設備異常が発生した時に報告書作成・承認依頼・進捗確認ができるモバイルアプリです。

報告者は、写真付きの異常報告書をモバイルアプリで作成します。すると、異常報告書の承認依頼が担当者へ自動送信され、保全担当者へも通知されます。異常対応が始まると、モバイルアプリで簡単に進捗状況を確認。PowerPlatform製品を効果的に組み合わせたモバイルアプリです。

(参照:DX を加速する JFEスチールが Power Platform を採用! 現場起点で「本当に使えるアプリ」開発に取り組み、作業時間も大幅短縮

導入前は保全担当者に報告するまでに3~4日、30以上のExcelファイルで管理していたらしい。まさに守りのDXですね!

その他

そのほかにも、労務管理・給与管理・勤怠管理・顧客管理などの様々な用途で作成できます。Microsoftからアプリのテンプレートが用意されているので、はじめての方はテンプレートを基に作成していくのがおすすめです。

PowerAppsの強み・弱み

メリット

1. 初心者でも扱いやすい

PowerAppsは市民開発が目的のツールなので、プログラミングの知識がなくても理解が容易です。Microsoft Officeツールと操作が類似しているため、アプリに動きを加えるロジックの構築も簡単。

従来の製品に比べて、短期間でツールの習得が可能です。

2. プラウザで開発できる

PowerAppsは独自の開発環境を構築しなくても、プラウザを立ち上げるだけですぐに開発を開始できます。Google ChromeMicorosoft EdgeなどがインストールされていればOKです。

3. 200種類以上の外部コネクタを使える

PowerAppsは200種類以上の外部コネクタが搭載されており、標準機能以外の機能も使用できます。例としては、ExcelOutlookSharePoint、LinkedIn、FacebookGmailTwitterなどです。

ただし、「標準コネクタ」と「プレミアムコネクタ」の2種類があり、プレミアムコネクタは追加料金が発生する場合があります。契約プランを確認してください。

(参照:すべての Power Apps のコネクタの一覧

デメリット

1. 保守性が悪い

PowerAppsはUIアイテムを指定してロジックを埋めるので、どこにコードがあるのかを探すのに一苦労します。

開発者と保守者が異なる場合は、簡単なドキュメント作成やコードの意味をコメントなどの保守性を高める措置が必要です。

2. 外部ユーザーはアプリを使用できない

PowerAppsを使えるユーザーはクラウドへのアクセス権が必要です。そのため、外部ユーザーにも使ってもらえるようにするには、アプリを共有する必要が出てきます。

PowerAppsは外部提供用のアプリとして作成するのには向かず、社内アプリとして作成するのには向いているツールです。

PowerAppsは社内DXに最適なツール

市民開発の必要性が高まる現代で、プログラミングの知識がなくてもすぐにアプリ作成ができるPowerAppsは魅力的。現場に近いビジネス領域の方が業務効率化のアイデアを思いつき次第、すぐに取り組めます。

社内DXの推進に最適なツールです。